鶴見区下末吉台地

稲荷社を望む坂道、坂下には諏訪坂公園

横浜市鶴見区の中で高級住宅地として知られている諏訪坂、鶴見区の中でも名前がブランド化されている閑静な住宅街を抱える下末吉台地のご紹介です。

元々は鎌倉時代の豪族、諏訪氏によって築城された平山城である寺尾城へと抜ける主要街道沿いの歴史を持つこの地。

現在は、国道1号線寺尾地区とJR鶴見駅の間に広がる丘陵から、様々な顔を持った坂を持つ同地域の魅力についてご紹介したいと思います。

    

徳川政権下で行われた東海道整備により、神奈川宿と川崎宿の中間地点、江戸から京都への参勤交代では初めての河川を渡った街道沿いの街として茶店や土産物店の繁栄により鶴見地区はその歴史を築きます。

1872年横浜駅(現桜木町)~新橋駅間の鉄道営業開始と同時に鶴見駅も開業、さらに東京と開港地横浜の中間地として文明開化の影響を色濃く受けながら栄えていくこととなりました。

現在の鶴見川橋は慶長年間(1596~1615年)に架けられた橋として、東海道中では風光明媚な地として歌川広重の浮世絵にも登場しています。

はまれぽ.com 歌川広重 浮世絵「五十三次名所絵図 川崎 生麦の里」より

区全体としては下末吉台地を基盤とした高地から広がるように位置し、寺尾台地区を中心に、東は産業道路沿い京浜工業地帯、西は東急線沿線、南は京浜急行生麦駅付近、北は多摩川と鶴見川の間と、山なりな地形が特徴的です。

最も標高の高いと思われる響橋より横浜方面を望む

 

このように山頂を中心に河川を境とした地形であった事から、徳川政権以降、多摩川、鶴見川を源流とした干拓、灌漑による水田開発を元にした開発へと続いていく事となります。

その中心部高台にはその灌漑の名残とされる三ッ池公園が市民の憩いの場として有名です、なお住宅地盤の観点からは河川の干拓、灌漑と高低差のある街のため、住宅地盤については一定の調査が必要がある地域だといえます。

・ジオテック株式会社 鶴見区の地盤

この県立三ッ池公園内は日本のさくらの名所100選に選ばれ、その敷地面積は29.7haとディズニーランドの半分強あります。

・県立三ッ池公園の桜

園内には1393年~1910年の李朝期の庭園をイメージしたコリア庭園があり、神奈川県韓国京畿道の友好記念として1990年に建築されています。

韓国京畿道の庭園家、造園家の専門的な監修を受けて建築されたこの庭園は前苑、前庭、主庭、後庭、後苑の五つの庭から構成されており、当時の地方貴族の邸宅を再現した非常にゆったりとした時の流れを醸し出しています。

神奈川県内における本格的な公園整備は、箱根離宮、葉山御用邸の県の財産化の後、農地解放の波を潜り抜け防空緑地として残されていた保土ヶ谷公園と、こちら三ッ池公園から着手されたとのことです。

※引用 神奈川県県土整備局 神奈川県立都市公園の整備・管理の基本方針より

    

また灌漑用水の名残としては街の中にこんな隠れスポットがあるのも鶴見散歩の楽しみかもしれません。

どこにあるのでしょうか ↓

エスプランさん 

ちょっとした鶴見お土産の紹介です、なんと江戸時代の茶屋の頃から同じ場所で営み続けているという京急鶴見駅より徒歩1分圏内にあるパン屋さんのおすすめがこちら ↓ 珈琲あんぱん!

苦みのある餡と生クリームがベストマッチ、テレビにも取り上げられていて大人気!ぜひお近くに行った際はお立ち寄りを。

 

最後に、韓国の造園技術に対する造詣と日本的風景への差異を東洋的観点から捉えられている著者、著作の紹介です。

「庭園という感じがない自然そのままの錯覚を抱かせるのが、理想とする造園術である」

・縮み志向の日本人 著作 李御寧